剛実コラム

ガス切断について

切断に要するエネルギーは、外部からではなく、切断される材料の燃焼によって供給されるのがガス切断の大きな特徴です。そのため、外部からのエネルギー供給が難しい、厚板の切断にも適しています。ガス切断では、燃焼ガスとしてアセチレンや天然ガス、プロパンガスなどが用いられます。

ガス切断について ギャラリー

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【ガス切断のメカニズム】

一般的なガス切断では、切断火口から噴出する予熱炎で、鋼材の切断開始部を発火温度(約900度)に達するまで熱します。次に、加熱した箇所に高純度の酸素を吹き付け、鋼材を燃焼させます。

その燃焼熱で鋼材を溶融させ、切断酸素の持つ機械的エネルギー(噴出力)で燃焼生成物と溶融金属を吹き飛ばします。酸素を吹き付けながら火口を連続的に移動させることで溝状に鋼材が除去され、鋼材が切断されます。

 

【ガスだけじゃない!ガス切断に重要な「酸素の力」】

ガス切断は、鉄と酸素の化学反応熱を利用した切断方法です。そのため、鋼にガスエネルギーが加わっても、酸素が加えられなければ目的とする化学反応を起こすことはできません。ガスで真っ赤に熱した鋼に、酸素気流を高圧で吹き付けることで、鋼と酸素との間で化学反応が起こります。

化学反応が起こることで、その後の鋼の燃焼、溶融が引き起こされます。このように、酸素噴流は、鉄の燃焼(化学反応)と燃焼生成物・溶融物を吹き飛ばす機械的エネルギーの役目を担っています。

 

【ガス切断が可能な条件とは?】

▼ 酸化物の流動性が良い・切断材からの剥離が容易である
これは、酸化物が燃焼部分に溜まる、もしくは切断材から剥離しにくい場合、鉄の燃焼が妨げられ切断が困難になるためです。

▼ 切断材に含まれる不純物が少ない
切断材の燃焼を阻害する不純物が多量に含まれていると、燃焼が不安定になったり、発熱量不足(切断に要するエネルギー不足)になったりする原因になります。

他にも、切断材料の発火温度と溶融点が「発火温度<溶融点」であること、生成する酸化物の溶融温度が切断材料の溶融温度よりも低いことなど、いくつかの条件が揃っている必要があります。